和醸良酒の精神で紡ぐ日本酒造り
キラリと光る東三河の企業を紹介! Vol. 22 関谷醸造株式会社
東三河は農工商バランスのとれた産業構造となっており、製造品出荷額等や農業産出額が全国的にも有数の規模を誇っています。そんな東三河を拠点に活動する魅力的な企業を取材し記事として紹介していきます。
第22弾は、愛知県北設楽郡設楽町に本社を構える関谷醸造株式会社です。
代表取締役の関谷 健様にお話を伺いました。

事業概要を教えてください
関谷醸造株式会社は元治元年(1864年)に創業し、現在では日本酒・焼酎・リキュールなどの酒類製造・販売を中心に、農業や飲食業にも事業を展開しています。2006年からは農業にも本格的に参入し、酒米の自社栽培を行っています。また、直営の飲食店を名古屋市内に2店舗構え、日本酒の新たな楽しみ方を提案しています。
会社の特徴やこだわり、強みについて教えてください
関谷醸造の大きな特徴は、原料の調達からお客様の食事シーンまで一貫して手掛けていることです。一般的な酒蔵では、酒販店さんや問屋さんを通じた流通が主流ですが、そればかりではどんどんお客様が遠くなってしまいます。関谷醸造の場合はお客様との接点が多く、直接的な関係を築いています。この仕組みによって、お客様の声を直接酒造りに反映することが可能になり、新たな商品の開発にもつながっています。
また、2004年から実施しているオーダーメイドの酒造りも特徴の一つとなっています。お酒のオーダーメイドとは原料米から製造工程、瓶の種類、ラベル等まで様々な要望に沿ったオリジナルな日本酒をつくることができるサービスです。初年度は数十本からのスタートでしたが、ニュースになったり、口コミで拡がったりと次の仕込みシーズン分は全て予約で埋まっています。1本仕込んでも約72リットル程度の小さなタンク毎にオリジナルな日本酒をつくるので、杜氏にとっては大変だと思いますが、新しい挑戦として一緒に取り組んでくれています。お客様からの様々なアイデアに触れ、刺激を受けたり、貴重なご意見をいただけたりします。
流通・オーダーメイド・飲食などを通じて、実際に私たちのお酒を口にするお客様と直接つながっていることが特徴であり、それを酒造りにも反映させていくことができると考えています。


最近の挑戦について教えてください
関谷醸造では2006年から酒米の自社栽培を始めました。地元の農家さんの高齢化に直面し、原料の調達に不安を感じた事が参入のきっかけです。農家さんがリタイアした際には担い手として入り、現在では全体量の2割は自社栽培の酒米を使用しています。日本酒の仕込みは寒い時期が基本となりますが、酒造りをしている社員も田んぼに積極的に出ていきます。自社で酒米を生産することによってのモチベーション向上や、お米の品質を常にチェックし、対策しながら安定した商品づくりができることがメリットです。
さらに、2021年には道の駅したらに「ほうらいせん酒らぼ」を設け、酒造り体験を提供しています。洗米、蒸米、仕込み、搾りの工程までを実際に体験できることが特徴です、伝統的な技法に触れながら酒造りのプロセスを体験することで、日本酒文化の奥深さを知る機会を提供しています。
会社の理念について教えてください
関谷醸造には「和醸良酒(わじょうりょうしゅ)」という合言葉があります。この言葉は日本酒の酒造りにおいて受け継がれてきた言葉であり、その意味は「和は良酒を醸す」というものです。すなわち、酒造りに携わる人の和の精神によって良酒(美味しいお酒)が生まれるということを示しています。また、読み方を変えると「良酒は和を醸す」という解釈もでき、美味しい酒が生み出す人々の和も大切に考えています。


東三河の魅力について教えてください
関谷醸造が拠点を置く設楽町は、標高が高く寒暖差があるため、良質な米や果物の生産に適しており、酒造りに必要な素材がそろっています。経営している飲食店(SAKE BAR圓谷・糀MARUTANI)でも東三河の農産物を使用していますが、米だけでなく牛肉、豚、鶏、合鴨、野菜、といった多様な食材が多く生産されていることはこの地域の魅力ではないでしょうか。
個人的にも、東京のようにせせこましくなく、自然が豊かでのんびりしているところは性に合っていると思います。星の写真を撮ることが趣味ですが、都市部に比べ明かりも少なく標高も高いため綺麗な写真が撮れます。
移住希望の方へ
自然はとても豊かだが、毎日雪かきしなければならない程雪も降らないし、夏も適度に涼しいとても住みやすい地域だと思います。
スーパーまで数十キロ移動しなければいけないわけでもないし、大型商業施設もある。車は持っていたほうがいいかと思いますが、自分で運転できればこんなに住みやすい地域はないと思います。
インタビューを通して
お酒のオーダーメイドや飲食店経営など、新しいことに挑戦している関谷醸造さんですが、インタビューを通じて、挑戦と守っていく部分のバランスを大切にしているのだなと印象を受けました。近年は若者の日本酒離れに対応し、飲み口を良くしたお酒が多く世に出ているが、飲み飽きするお酒は造りたくない。エントリー向けのお酒だとしても、芯がしっかり通った、2杯目3杯目も飲みたくなるようなお酒をつくっていきたい。そのためにはコンセプト・技量・レシピとすべてにこだわりを持つ必要があると熱いお話しを頂きました。江戸時代からの歴史とお客様からの生の声をもとに挑戦し続ける関谷醸造さん。これまでも、これからも酒造りの可能性に挑み続ける企業なのだと強く感じました。

※取材日(2025年2月21日)時点の情報です。
会社名 | 関谷醸造株式会社 |
住所 | 愛知県北設楽郡設楽町田口字町浦22番地 |
代表取締役 | 関谷 健 |
HP | 関谷醸造株式会社 |