炎で暮らしを再発明するFiretech Company
キラリと光る東三河の企業を紹介! Vol. 20 新富士バーナー株式会社
東三河は農工商バランスのとれた産業構造となっており、製造品出荷額等や農業産出額が全国的にも有数の規模を誇っています。そんな東三河を拠点に活動する魅力的な企業を取材し記事として紹介していきます。
第20弾は、愛知県豊川市に本社を構える新富士バーナー株式会社です。
代表取締役社長の山本 晃様にお話を伺いました。
事業概要を教えてください
新富士バーナーは、生活に寄り添う安全な炎でさまざまな付加価値を提供する“Firetech Company”です。
新富士バーナーは1978年に工業用バーナーの製造会社として設立されました。設立から数年は、配管工事などに使用するトーチランプやプロパンバーナー、雑草処理に使用する草焼灯油バーナーなどを主な製品として製造・販売していました。当社がアウトドア製品を手掛けるきっかけとなったのは、1990年に販売を開始した「ポケトーチ」の開発です。当初は工作用ツールとして開発された製品でしたが、その強力な噴炎は耐風性にも優れており、アウトドア市場での需要に目を向けました。そこで立ち上げたのが「SOTO」ブランドです。現在では、「SOTO」をはじめ、工業用バーナーや草焼バーナーなどの製造・販売を幅広く手掛ける燃焼器具の総合メーカーとして、“炎”をより便利に、より楽しくする製品を生み出し、社会のニーズに応え続けています。
会社の特徴やこだわり、強みについて教えてください
一番の強みは、燃焼器具の総合メーカーとして各業界に進出し、そこで培った技術を横展開することで、便利で革新的な商品を提供できる点です。
例えば、アウトドア業界では、アウトドア専門メーカーがテント、寝袋、机などさまざまな商品を作り、その一部としてランプやコンロを製造しています。それに対して、私たちは創業以来、燃焼器具のスペシャリストとして各業界に向き合っています。また、弊社だからこそ気付ける点として、工業用バーナー業界の常識がアウトドア業界では非常識であったり、まだ知られていない事実であったりします。そうした技術や経験を業界の枠を超えて展開することで、結果として新富士バーナーは各業界の燃焼器具分野でトップシェアを獲得しています。
私たちの強みを象徴する例として挙げられるのが、オリンピックの聖火リレーです。
新富士バーナーは、東京2020オリンピックとパリ2024オリンピックで使用された聖火リレートーチの燃焼機構を製造しました。聖火リレーは数か月間にわたり各地を巡るもので、ランナーも老若男女を問わず、パラリンピックでは身体に不自由のある方も参加されます。そのため、どのような状況でも聖火が消えず、安定して燃え続けることが求められます。この課題において活躍したのが、エベレストなどの過酷な環境下でも炎を安定してコントロールしてきた当社のバーナーやランタンの技術でした。風速17m、50mmの降雨量といった台風に近い条件下でも燃焼し続けるトーチの燃焼部を開発し、東京・パリ両大会ともにヒューマンエラーを除き、一度も炎が消えることなく完走を達成したと伺っています。
会社の理念について教えてください
近頃、当社ではミッションを更新し、「炎で暮らしを再発明するFiretech Companyへ」と掲げました。
近年、火災のリスクや子どもの安全面などの理由から電化が進み、炎が日常生活から徐々に切り離されています。しかし、強度や精度の面では電気よりも炎を使ったほうが適しているシーンも少なくありません。また、炎が身近にない環境では、天災などでインフラが途絶えた際に、暖を取ることも調理をすることも難しくなってしまいます。私たちは、Firetech Companyとして安心・安全を担保しながら、付加価値の高い炎を提供することで、人々が再び炎を日常に取り入れるきっかけを作れると考えています。また、「火育(ひいく)」というテーマにも積極的に取り組んでいます。この活動は炎の使い方やその価値を再発見してもらうもので、「育」という字から子ども向けと捉えられがちですが、私たちの対象はむしろ大人です。そして、親から子へ、子から孫へとその知識が伝わっていくことを目指しています。
東三河の魅力について教えてください
東三河地域は自動車産業を筆頭に、モノづくりが盛んな地域であり、新しい技術を探求するのに適した環境だと感じています。また、新富士バーナーは全国に営業所を設けず、豊川の本社を拠点として全社員が活動しています。日本の中心に位置し、交通機関が非常に便利なため、他エリアでの業務はすべて出張で対応しています。この体制のおかげで、全社員の顔が見える一体感のある環境が実現できています。
個人的には、東三河は街の利便性が高く、お年寄りでも快適に暮らせる一方で、少し足を延ばせば豊かな自然を感じられる魅力的な地域だと思います。夏には海でマリンスポーツを楽しむことができ、冬にはウィンタースポーツのメッカである長野にもアクセスが良く、一年を通して自然と触れ合うことができます。私自身、東三河をはじめ静岡や三重までキャンプをしに出かけることがあります。車で1~2時間も走れば、いろいろなキャンプ場に行けるのも、東三河ならではの魅力だと感じています。
最近の挑戦について教えてください
新富士バーナーは「新しいものを開発すること」を最重要課題としています。特に当社では開発意欲の高い社員が多く、その意欲を会社としても可能な限りサポートしていきたいと考えています。技術を優先する姿勢が強い風土の中、こうした取り組みがポケトーチからSOTOブランドへの発展や、オリンピック聖火リレートーチへの関与といった成果に繋がったと考えています。
今後も開発に情熱を注ぎ、炎の技術と新しい時代の感性を融合させ、次世代の豊かな暮らしを再発明していきます。また、開発だけでなく、他部署でも自由度が高くチャレンジの機会が多い職場です。
新富士バーナーの求人にご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
https://shinfuji.co.jp/recruit/
インタビューを通して
SOTOを会社名やアウトドア専門メーカーだと思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、取材を通して、新富士バーナーは燃焼器具の総合メーカーであり、まさに炎のスペシャリスト集団だという強い印象を受けました。
SOTOブランドのストーブは、過酷な自然環境でも炎の安定性を実現した結果、エベレストやK2の登山で正式採用されています。また、炎を“灯り”や“癒し”として捉えた商品開発や、煙を活用した燻製器のように、付加価値を追求する姿勢も際立っています。これらは、山本社長のお話にあった「安心安全を担保しつつ不可価値の高い炎を提供する」というお話しを体現している魅力あふれる会社だと感じました。
インタビューを通して、新富士バーナーさんの炎へのこだわりに触れ、販売中の商品への興味がさらに深まり、同時に今後どのような商品が開発されるのか期待に胸が躍りました。2025年3月25日(火)から9月25日(木)までの185日間、愛・地球博記念公園で開催する「愛・地球博20祭」において、8月にSOTOブランドの商品を使った火育ワークショップを実施していただく予定です。イベントの詳細は愛・地球博20祭公式ホームページで随時お知らせいたします。ぜひ新富士バーナーの魅力を体感しに来てください。
※取材日(2024年11月18日)時点の情報です。
会社名 | 新富士バーナー株式会社 |
住所 | 愛知県豊川市御津町御幸浜一号地1番地3 |
代表取締役社長 | 山本 晃 |
HP | 新富士バーナー株式会社 |