「ドラ基地」で物流の2024年問題に立ち向かう

キラリと光る東三河の企業を紹介! Vol. 17 株式会社スペース

東三河は農工商バランスのとれた産業構造となっており、製造品出荷額等や農業産出額が全国的にも有数の規模を誇っています。そんな東三河を拠点に活動する魅力的な企業を取材し記事として紹介していきます。
第17弾は、愛知県蒲郡市に本社を構える株式会社スペースです。
代表取締役の村井美映様にお話を伺いました。

事業概要を教えてください

株式会社スペースは、長距離運送の運送会社同士をマッチングさせ、運送会社を中継地として活用し、中継輸送を実現するサービス「ドラ基地」を運営している会社です。
現在物流業界は「2024年問題」に直面しています。物流2024年問題とは、働き方改革関連法によって2024年4月1日以降、トラックドライバーの年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されたことによって発生する問題の総称のことです。日本の物流は陸送が約9割を占め、さらに日本の運送会社の9割以上が中小企業で成り立っています。これらの中小企業の方々が2024年問題を乗り越えられるような解決策を打ち出す必要がありますが、9割以上の中小企業がこの問題を認識しているにも関わらず、75%の企業が未だに解決できていないと言われております。
そこで私たちが注目したのは荷物の積み替えによる中継輸送です。中継輸送では、出発地と目的地の中間地点で荷物を受け渡すことで、ドライバーは日帰り運行が可能になり、労働環境が大幅に改善される輸送形態です。
例えば東京・大阪間を1人のドライバーが往復するのではなく、東京と大阪から来たそれぞれのドライバーが中間地点の愛知で荷物の積み替えを行った上でUターンすればドライバーは車中泊の必要もなく、日帰り運行が可能となり、長時間労働を抑えることが可能になります。

中継輸送は全国に拠点を持っている一部の大手企業が、統一されたオペレーションのもとで実施していますが、中小企業にはこれを実現するためのリソースが不足しています。
「ドラ基地」は中小企業が持つ資産やリソースを活かしつつ、全国に点在する中小企業の拠点を中継拠点とし、提携する運送会社とともに長距離輸送の短距離化を可能とするサービスです。

サービスの機能や特徴について教えてください

ドラ基地の主な機能としては3つあります。

最適な運送パートナーのマッチング

荷物情報を登録するだけで中継輸送ができる最適な運送パートナーに出会うことができます。

中継拠点の検索から予約

運送で必要となる中継地の検索から予約まで利用することができます。

運送の補助システム

ドラ基地ではWEBとアプリ(特許申請中)で荷物情報や運行状況などを確認することが可能です。

そのうえで特徴は2点あります。
一つ目は物流にITの力を積極的に取り入れている点です。
ドラ基地は主な機能として紹介した通り、運送パートナーとのマッチングだけではなく、マッチング後の運送補助までシステムでサポートしています。
ドライバーから発信される位置情報や配達完了までの追跡がスマホひとつで可能となり、管理者に共有されます。さらに荷物の積み替えの際には、荷物の写真をとるだけで、現場のドライバーが簡単に運用でき、バックエンドでは同一の荷物がきちんと事故なく引き継がれたのか自動で突合・分析しております。
このように大手企業のオペレーションを強いるのではなく、だれもが使いやすいシステムを構築することで、中小企業は参入しやすく、発送元の方々にとっては輸送の見える化による安心感を醸成することが可能となります。
二つ目は中継作業に必要な拠点を有している点です。
私たち以外にも物流業界の課題に対し、ソリューションを提供している企業やスタートアップの方々はいらっしゃいますが、中継輸送を実現させていくには物理的な拠点が必ず必要となります。現在利用可能な中継拠点は東海地方を中心に全国40拠点98区画と、どんどん拡大しております。中小企業向けのサービスとしては日本最大級の規模を誇っています。

今後の展望について教えてください

弊社のミッションは “物流に関わるすべての人へしあわせの架け橋となる” と定めており、物流業界のマイナスイメージを払拭していきたいと考えています。長距離輸送から短距離輸送へ切り替えることによるドライバーの重労働イメージの撤廃。日帰り運行を可能とし、女性も働きやすい物流業界に変革。車中泊や待機時間の削減からCO2排出量を削減し、環境負荷の低減。そして消費者や顧客にとっては今まで通りの輸送サービスが享受できる。
このような未来を目指してドラ基地の運営に励んでいます。

東三河の魅力について

会社としてはやはり日本の真ん中に位置しており、日本全国にアクセスしやすいという点です。特に関東・関西間は全国の物流量の約半数を占めると言われており、その間の中継地点として東三河はとても魅力的な土地だと感じています。
私は会社がある蒲郡市の育ちですが、個人的な目線でも蒲郡市は東名高速のインターがあり、国道23号線と1号線が重なっているため、渋滞も少なく動きやすい土地だと感じています。また、蒲郡市は海岸線沿いに温泉地があり、よく家族で旅館に泊まって楽しんでいます。
特に私のお気に入りはスーパーで、東三河には他の地域と比べても、各社特色のを持ったスーパーが集まっていると感じています。蒲郡市は漁業も盛んなので、地元のスーパーで新鮮な魚を手に入れることができるのは私にとっては魅力の一つです。

移住希望の方へ

蒲郡市は、南は三河湾、北は山々に囲まれ、南北に川が流れ、自然が豊かでとても過ごしやい地域です。名古屋へのアクセスも良く、電車で40分程度なので、東三河の中でも名古屋に遊びに行きやすいのは利点ではないでしょうか。

株式会社スペースでは「ドラ基地」を拡大していくメンバーを募集しています。
私たちの活動にご興味がある方は、まずはお気軽にお問合せ下さい。
https://dorakichi.com/contact/

インタビューを通して

蒲郡市は三河湾に面する観光都市であり、リゾート施設のラグーナテンボスやテーマパークのラグナシア、西浦温泉、三谷温泉、形原温泉、蒲郡温泉の4つの温泉街などがあります。株式会社スペースは蒲郡市に本社を構え2020年7月に設立された会社ですが、デル女性起業家ビジネスコンテストにて優勝、マサチューセッツ工科大学ベンチャーフォーラムにて8賞受賞など、輝かしい受賞歴があり、東三河エリアで最も勢いのあるスタートアップの一つです。村井さんは起業する前は運送会社に在籍し会社の業務管理やM&Aのデューデリデンスを担当し、そこで感じた課題と東三河という立地を生かしたアイデアで株式会社スペースを設立しドラ基地を運営しています。起業というと都会のほうが有利というイメージを持つ方も多いかと思いますが、村井さんのように東三河から日本のインフラを支える挑戦をしている方もいらっしゃいます。地方起業のモデルケースとしても株式会社スペースの今後に要注目です!

※取材日(2024年9月13日)時点の情報です。

会社名株式会社スペース
住所愛知県蒲郡市三谷町川原24-5 A号
事務局長村井美映
HP株式会社スペース