目に特化した事業で世界に「見える」を届ける企業
キラリと光る東三河の企業を紹介! Vol. 04 株式会社ニデック
東三河は農工商バランスのとれた産業構造となっており、製造品出荷額等や農業産出額が全国的にも有数の規模を誇っています。そんな東三河を拠点に活動する魅力的な企業を取材し記事として紹介していきます。
第四弾は、愛知県蒲郡市に本社を構える株式会社ニデック(以下、ニデック)です。
概要他は秘書広報課の中根主管、浅野様にお話しを伺いました。記事後半では、大阪府から移住し、ニデックに勤めている福地 成樹(ふくち なるき)様にインタビューをさせていただきました
会社の概要を教えてください。
一本道と気球が見える装置を眼科検診で経験したことはないでしょうか。
ニデックは愛知県蒲郡市に本社を構える眼科医療機器メーカーです。1971年8月に創業し、2021年に創業50周年を迎え、最先端の光学技術と電子技術を基に、医療分野、眼鏡店向け機器分野、コーティング分野という多彩な分野で世界市場に事業を展開しています。
気球が見える装置(オートレフラクトメータ)もニデックの製品で、従来数分かかっていた検査が数秒ほどでできる画期的な装置です。
会社の特徴を教えてください。
一番の特徴は最先端の光学技術と電子技術を基に、「目」に特化した事業を展開している点です。
創業者である小澤秀雄(初代代表取締役社長)は、1957年に光学研究のため米国へ留学したことをきっかけに、人間の目の構造に深い関心を抱くようになりました。「光学とエレクトロニクスの融合により眼科医療の発展に貢献したい」。この想いとともに、ニデックは誕生しました。
創業25周年を迎えた1996年には、事業領域を目だけでなく身体全体に拡げました。近年は「目で培った技術を基に、健康で快適な生活を提供したい」という想いを込め、疾病の予防や早期発見を目的とした診断機器、体に負担の少ない低侵襲な手術装置の開発、さらには再生医療やアンチエイジング・健康ケア商品を手掛けています。
創業51年目を迎えたニデックは10年後の会社の存在意義を「みる」喜びと健康を技術で支え、変わらない安心を世界へ届ける。と定め、蒲郡から世界の顧客へ価値を提供しています。
会社の設立の目的について教えてください。
創業以来、「見えないものを見えるようにしたい」、「見えたものを認識できるようにしたい」、「眼に関する優れた機器を作りたい」という想いのもと、医療、眼鏡機器、コーティングの3つの分野に事業を展開してきました。
その中でも「見えないものを見えるようにしたい」という目的に則した「人工視覚」の開発は創業以来の夢であり、目標です。
「人工的に視覚を創出する人工眼」というアイデア自体は、古くからありましたが、1990年代のエレクトロニクス技術の目覚しい発展から、2001年、長年の夢であった人工視覚の研究開発に着手しました。
ニデックの人工視覚の研究開発は、日本企業としては初めて、そして現在も唯一の試みです。ニデックは、「チャレンジは大きければ大きいほど、面白い。誰もやらない分野にこそ、大きなチャンスがある」、と考える会社です。創業以来の夢である「人工視覚」の開発に挑戦することによって、日本発の次のイノベーションを目指し、ニデックは今日も、これからも、挑戦し続けます。
インタビューを受けてくれたのはこちらの方です!
福地 成樹さん
アイケア事業部 開発本部 医療開発部 開発一課
31歳 入社9年目
出身地:大阪府
入社のキッカケを教えてください。
大学で機械工学を学んでいた私は、家族が医療系の仕事に従事していることもあり、医療業界の開発に興味を持ちながら就職活動に取り組んでいました。そんなときにニデックと出会い、私自身視力が良くないこともあり、共感を覚えたことがキッカケです。
当初は東三河というゆかりの無い土地に行くことに少し抵抗はありましたが、家族が背中を押してくれました。
業務内容や仕事のやりがいについて教えてください。
入社以来、新製品の開発や、既存商品の改良等を担当しています。
これまでの経験で最も深く携わった製品は「Mirante(ミランテ)」という製品です。「Mirante」は眼底を検査する様々な機能を有した装置です。眼底は瞳孔を通して見るため一般的な装置では見える範囲が限られますが、「Mirante」の特徴は広角アダプタを使うことで広い範囲を高画質で撮影することが可能となります。さらに網膜の断層像の撮影など、「Mirante」だけで複数の検査をすることが可能です。
この装置の開発には早い段階から責任ある立場で携わらせていただき、最も思い出深い装置です。
「Mirante」を眼科で使っている様子を伺う機会があり、ドクターからの説明と装置の画像を通して、患者さんに疾患の説明をされているのを見た時には大きなやりがいを感じました。眼や医療に関して知識のない方でも、画像を通して症状がしっかり伝わる装置であることが重要だと考えています。
会社の好きなところを教えてください。
熱意があれば、希望することを担当させてもらいやすい点です。私の場合はタイミングなどもあったのかもしれませんが希望を通してもらっている状態ですし、個人の要望を会社に伝えやすい風潮はあると思います。
あとは育休がとりやすい点です。日本における男性の育児休業取得率は13.97%(※1)のところ、ニデックの男性社員は約半数の49%が育児休業を取得しています。また、蒲郡市内に会社の託児施設が用意されており、育児休業後の職場復帰に対するサポート体制も整っています。
※1 参考:厚生労働省「令和3年度雇用均等基本調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-r03.html
蒲郡・東三河の印象を教えてください。
地元の大阪と比べて、電車の本数が少ないなというのが第一印象です。また、思っていたより名古屋に出るまでに時間がかかるなと感じました。ただ、この地域は車で移動しやすく、駐車にも困らないため、今では車移動がメインとなっています。
蒲郡周辺は子育てをしやすい地域だと感じています。地元大阪の家族や友人からの話を聞いていてもそう思います。現在2歳の長男と0歳の次男を育てていますが、児童館が充実していますし、少し足を伸ばして、豊橋市のこども未来館「ここにこ」を訪れる事もあります。保育園も入りやすく、公園も綺麗で子供を連れていきやすく助かっています。
移住を検討されている方へのメッセージ
知らない土地に行くという事で、文化や言語の違い等を気にしていましたが、私の場合は関西弁で良く喋る人が来たと、キャラクターを受け入れてもらうことができました。人と違う特徴という所で目にかけてくれる方もいました。
初めての土地で住むとなると、デメリットにフォーカスしがちですが、メリットも隠れていたりするので、そちらにも注目してもらえればと思います。
インタビューを通して
株式会社ニデックは従業員数1641人、年商が419億という大きな会社であり、世界100カ国以上に製品を輸出しています。そのような大きな会社がなぜ蒲郡市に本社を構えているのかインタビュー前は疑問でしたが、視座の高い理由がそこにはありました。その理由は、創業者の小澤秀雄さんがアメリカ留学中に都会でなくても立派な会社が多数存在している事に触れ、地元からでも世界に伍して戦えるという想いからとのことでした。すなわち、世界規模で見た時に東京なのか蒲郡なのかは僅かな差でしかないというお答えでした。
眼科医療機器という世界でシェアを獲得し、労働環境の整備なども非常に整っている安定感と、「人工視覚」の開発等のチャレンジングな姿勢から、働きやすさとやりがいの両立ができている会社という印象を受けました。
※取材日(2023年1月25日)時点の情報です。
会社名 | 株式会社ニデック (NIDEK CO., LTD.) |
住所 | 〒443-0038 愛知県蒲郡市拾石町前浜34番地14 |
設立 | 1971年7月7日(創業日同年8月8日) |
代表取締役 | 小澤 素生 |
HP | 株式会社ニデックHP |
電話番号 | 0533-67-6611(大代表) |